『グッド・バイ』太宰治
「いや、僕もあれからいろいろ深く考えましたがね、結局、ですね、僕が女たちと別れて、小さい家を買って、田舎から妻子を呼び寄せ、幸福な家庭をつくる、という事ですね、これは、道徳上、悪いことでしょうか。」
「あなたの言う事、何だか、わけがわからないけど、男のひとは誰でも、お金が、うんとたまると、そんなケチくさい事を考えるようになるらしいわ。」
太宰の絶筆『グッド・バイ』。
田島という妻子あるモテ男が、「グッド・バイ」と言いながら女たちと別れていく話です。
別れるために、女たちの前に美女を連れていく作戦なのですが、田島が選んだ美女・永井キヌ子が豪快なキャラクターです。
田島が「あの怪力、あの大食い、あの強欲」と言って恐れるほど。
ふだんは容姿に無頓着でだれも美しさに気づかないほどなのに、着飾ると絶世の美女になるわけです。
田島はキヌ子に翻弄され続けます。
「元をとろう」と、キヌ子をものにしようとするのですが、逆に打ちのめされてしまったりします。
一人目、美容室の青木さんに「グッド・バイ。」を決めて、二人目に行こうとした時に小説が終わってしまいます。
続きが読みたい。